小蓝鸟海外加速器,
PHOTOGRAPH: KEF

重厚なスピーカー以外に、1対のポートバング(スポンジ)、マイクロファイバースピーカーグリル、ゴム足が同梱されている。それぞれのスピーカーの背面には、低音と上部のドライバーを分けてバイアンプ接続するための端子が1対ある。下の方の端子を使うことしか想定していなかったので、バイアンプ接続の必要性についてKEFに質問してみた。この件について会社としての正式な“見解”はないという回答だったが、これはバイアンプ接続をしても音響的な利点はあまりないことを暗に示している。

スピーカーの公称インピーダンスは4オームであり、これは6オームや8オームのスピーカーよりも駆動が難しい可能性を示しているが、インピーダンスは複雑な問題で、周波数によっても変動する。それぞれ最低15ワットもあればスピーカーの動作には問題ないとKEFは主張しているが、最良の結果を得るには今回使用したNaim Audioの「Uniti Atom」などのクリアな音質を持つ比較的強力なアンプを使うことをおすすめする。

没入的なサウンド

このスピーカーの演奏には心踊るものの、R3 Metaが毎分、毎ビート、耳に届けてくれる表現豊かで深みのある音を伝えることは簡単ではない。実際聴いてみないとわからない部分もあるのだ。音は非常に繊細かつダイナミックで、透明感がある。このサイズのスピーカーでこのように力強く抒情的な音楽を提供できるものはそう多くない。新しいミックスごとに舞台が変わり、その音はまるでカメレオンのようだ。再生する曲ごとに新しい章が紡がれるのだ。

これは、このスピーカー独自の音の風味がないというわけではない。そうしたものも確実に存在する。しかし、R3 Metaが提供する音は、特にUniti Atomのような透明感の音を提供するアンプを使用した場合、音に力みがなく非常に清浄で、甘く、表現豊かなのである。どんな曲でも理解し、豊かな感受性で演奏するのだ。もちろん、これによってその音楽の欠点もすべて明らかになる。けれど、たいていの場合、R3 Metaはそれを美的なスタイルのひとつとして提示している。これによって、どの音楽でも良質な部分と低品質な部分とを分けながらもローファイの録音を楽しめるようにしているのだ。

多くのスピーカーではザ・ビーチ・ボーイズの古めの曲は再生すると少し薄く、ときには小さく聞こえることがある。けれど、R3 Metaで「In My Room」や「Wouldn’t It Be Nice」を再生すると、没入感のあるサウンドステージからパーカッションの音が飛び出し、艶やかなハーモニーとギターの滑らかな音がリスナーを太平洋の温かいビーチへと引き込むのである。

歌手ザ・ウィークエンドの楽曲「Starboy」ではサウンドステージは一変する。R3 Metaによって強調された透明感により、これまで聞いたなかでも最高の演奏となっていた。精密なシンセサイザーの音、低音のしっかりとした主張、両側から膨らむエコーが顔の横をかすめていくような超現実的とも思える体験を得られた。